アーティスト インタビュー

渡辺 康

出演を重ね日本オペラの魅力の虜に

Vol.65

日本人として世界で初めてプリマ・ドンナとして活躍をした三浦環の生涯が初のオペラ化!今回、三浦環の夫である三浦政太郎を演じる渡辺 康。「自ら道を切り拓いていった環さんと政太郎さん。」と語る彼に密着。

今最も旬なアーティストのリアルな声や、話題の公演に関する臨場感あるエピソードなど、オペラがもっと楽しめること請け合いの情報をお届けするコーナー「CiaOpera!」。第65弾は、2026年3月7日(土)・8日(日)に上演する日本オペラ協会公演「奇跡のプリマ・ドンナ -オペラ歌手・三浦環の「声」を求めて-」に、三浦政太郎役で出演する渡辺 康氏。イタリアでの留学生活から、本作を演じる想いなど幅広く語っていただきました。

イタリアを意識し始めたきっかけは、大学1年生の時のイタリア研修旅行。イタリアに行って自分を変えたいと思いました。

ーイタリアに留学したきっかけを教えてください

大学時代の恩師である高木鳰子先生と一緒に行ったイタリア研修旅行でしょうか。野外オペラを観たり、主要都市を観光したり。その後フィレンツェの郊外にある小さな街で研修をするのですが、研修の最後にホセ・カレーラスの伴奏を長年勤めているロレンツォ・バヴァイさんの伴奏で「愛の妙薬」のアリア『人知れぬ涙』を歌わせてもらい、またイタリアで勉強したいという気持ちが強くなりました。

その後、学部の2年生から師事をした小林一男先生との進路相談でイタリア留学を決断し、実現に向けて動きはじめました。語学レッスンや現地で勉強をしている先輩に話を聞いて情報収集をしました。

―イタリアではどのような生活を送っていたのですか?

大学の学部を卒業した年に留学を開始したので、まさにオペラ歌手としての第一歩をイタリアで踏みました。
歌のレッスンを受けながら語学学校に2年通い、その後パルマ音楽院に入りました。声楽だけでも10クラスほどあり、世界各国から集まった素晴らしい声を目の当たりにして衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。その仲間たちと切磋琢磨しながらオペラへの出演機会を得ていきました。

「ラ・チェネレントラ」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」「ブルスキーノ氏」「結婚手形」「秘密の結婚」に出演し、中でもボローニャ歌劇場研修所のヨーゼフ・ミスリヴェチェク作曲「オリンピアデ」と「ドン・パスクワーレ」でボローニャ歌劇場の舞台を踏めたことはとても良い経験になりました。

ベルカントオペラフェスティバル イン ジャパンでお馴染みのマルティーナ・フランカで行われているヴァッレ・ディートリア音楽祭でのアゴスティーノ・ステッファーニ作曲「バッカナーリ」というバロックオペラに出演したことも初めての経験で悪戦苦闘したことを良く覚えています。

2016年 ヴァッレ・ディートリア音楽祭「バッカナーリ」

―イタリアで多くのことを経験して歌われてきたんですね。
 日本に帰国するきっかけはなんだったんですか?

母国日本で根を張って活動したい、その先にイタリアで培ったベルカント唱法を伝承したいという思いが強くなり帰国しました。

―帰国してからはどのように活動していたんですか?

帰国した年に日本オペラ振興会の入団試験を受けました。その後アンダースタディとして公演に参加させてもらったのをきっかけに、世界中がパンデミックになる直前の2020年「紅天女」の藤原照房役、2021年「ジャンニ・スキッキ」のリヌッチョ役でデビューさせていただきました。

2020年日本オペラ協会公演「紅天女」
2021年 藤原歌劇団公演「ジャンニ・スキッキ」

―イタリアと日本では稽古の違いはありますか?

稽古内容は特に変わりませんが、歌手がエンジンをかけるタイミングが違うように思います。外国人歌手の本番直前での豹変ぶりはすごいです。それまで力を出さないわけではないのですが、稽古でユーモアを混ぜながら話したり和気藹々としていたのが嘘のようにゲネプロ、本番になると別人のように魅力たっぷりに歌うのです。

―イタリアと日本の違いはとても興味深いですね。
 今後、演じてみたい役はありますか。

とても憧れているのは「ランメルモールのルチア」のエドガルドです。声を抑制して重ね合う一幕二重唱、緊迫の六重唱、最終景の壮大なアリアからの自死のシーンと難曲揃いですが、いつか是非舞台で演じてみたいです。

出演を重ねる上でどんどん身近になり、その魅力の虜になっています

―ありがとうございます。ここからは今回出演される日本オペラ協会「奇跡のプリマ・ドンナ -オペラ歌手・三浦環の「声」を求めて-」についてお伺いしたいと思います。
 日本オペラに対してどのような想いをお持ちですか?

日本オペラ協会公演デビューをした「紅天女」の時は、日本語での歌唱経験がほぼなかったので不安だらけでしたが、「咲く〜もう一度、生まれ変わるために〜」「ニングル」と出演を重ねる上でどんどん身近になり、その魅力の虜になっています。歌詞が日本語なのでお客様にもダイレクトに伝わるというところも良いですね。

2022年 日本オペラ協会公演「咲く〜もう一度、生まれ変わるために〜」タロー役

―今回、「奇跡のプリマ・ドンナオペラ歌手・三浦環の「声」を求めて」の作曲家、渡辺先生の音楽、オペラについて教えてください

渡辺先生の音楽はパッと情景が浮かび上がり、登場人物の心情や性格がスッと入ってきて鷲掴みにされます。「ニングル」では才三を演じながら込み上げてくる涙を抑えきれず何度も泣かされました。

―日本オペラは実在する人物を演じること多いと思いますが、役作りでされていることはありますか?

その人物への尊敬の念を忘れないことでしょうか。ノンフィクションの場合はなおさらです。

―ご来場くださる皆様にメッセージをお願いいたします

三浦環さんが自分の声を信じて、激動を生き抜く力強い姿をぜひ劇場でお見届けください!

©︎Takafumi Ueno

渡辺 康

テノール/Tenor

藤原歌劇団 正団員 日本オペラ協会 正会員

出身:新潟県

国立音楽大学卒業。イタリア国立パルマ音楽院修了。2007年から10年間イタリアにて研鑽を積む。第1回カッファレッリ国際オペラコンクール第3位。第47回イタリア声楽コンコルソにてテノール特賞受賞。

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