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作品について

ベッリーニ作曲

オペラ全2幕 字幕付き原語上演

イントロダクション

2017年秋に開館するカルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホールは、川崎市内最大規模の2,013席(オーケストラ・ボックス使用時は1,893席)のシューボックス型の多目的ホール。そのオープニングを藤原歌劇団をはじめとする五者の共同制作公演「ノルマ」が飾ります。
主演はベルカント・オペラの女王マリエッラ・デヴィーア(S)。彼女は今回の「ノルマ」公演を、自身の日本におけるオペラ舞台の集大成としたいと語っています。相手役のポッリオーネには、1985年生まれでルーマニア出身のステファン・ポップ(T)。彼は22歳の若さでローマ歌劇場に「ラ・トラヴィアータ」のアルフレード役でデビューし、すでにウィーン国立歌劇場、ハンブルク国立歌劇場、チューリヒ歌劇場などで国際的な活躍をしている期待の若手で、これが日本デビューとなります。アダルジーザは、2006年のフィレンツェ歌劇場、2013年ミラノ・スカラ座の来日公演の「ファルスタッフ」でメグを演じて好評を博したイタリアのラウラ・ポルヴェレッリ(Ms)。オロヴェーゾは藤原歌劇団のトップ・バスとなりつつある伊藤貴之(Bs)。そのほかクロティルデに松浦 麗(Ms)、フラーヴィオには、びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーの二塚直紀(T)といった布陣で臨みます。
指揮は、この春に紫綬褒章を受賞し、リューベック歌劇場音楽総監督、びわ湖ホール芸術監督としてオペラ指揮者としてのキャリアを着々と積んでいる沼尻竜典。オーケストラは沼尻が音楽監督を務めるトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア(2016年の創立20周年を機にトウキョウ・モーツァルト・プレーヤーズから改名)がピットに入ります。合唱は藤原歌劇団合唱部と、びわ湖ホール声楽アンサンブル。演出は、海外でもコンスタントに活躍する粟國 淳です。
新しいホールの門出にふさわしい壮麗な舞台をどうぞお楽しみに。

見どころ・聴きどころ

この作品でもっとも有名なのが、第一幕でノルマが歌う「清らかな女神よ」。このカヴァティーナでは、ベッリーニ独特の長いフレーズを滑らかに歌うのみならず、ノルマというひとりの女性が抱える複雑な立場や心の揺れを凝縮して表現せねばなりません。このノルマ役という役は、ベルカント屈指の難役と呼ばれています。
同じ第一幕のポッリオーネの勇ましいカヴァティーナ「私と共に愛の神の祭壇に」とカバレッタは、リリコ・スピントのテノールの声の聴かせどころです。
また、このオペラでは重唱が大きな位置を占めます。特にノルマとアダルジーザによる「ご覧なさい、ノルマ」、「ええ、最期の時まで」は、コンサートでもよく取り上げられます。
また「お前はついに私の手中に落ちました」に始まるこのオペラのフィナーレは、それぞれの登場人物の心情が見事に描かれ、ベッリーニの作曲家としての実力が十全に発揮されています。

あらすじ

【第1幕】
古代ローマに征服されたガリア地方のケルト人たちは、知識層ドルイドに導かれ、オークの古木とそれに寄生するヤドリギを信仰の象徴として崇めている。
月夜の聖なる森。ドルイドの長オロヴェーゾがドルイドたちを伴って現れ、オロヴェーゾの娘で巫女の長ノルマの口からローマに復讐する時を告げる神のお告げがあることを待っている「畏れ多き神よ、お告げを」(オロヴェーゾ)。
彼らが去った後、ローマの地方総督ポッリオーネが腹心のフラーヴィオと現れる。ポッリオーネは秘密裏にノルマと愛し合い、ふたりの子供までもうけた。しかし、彼の心は、今や若き巫女のアダルジーザに移っている。彼は何としてもアダルジーザを連れてローマへ戻り、彼女と結婚するのだと語る「私と共に愛の神の祭壇に」(ポッリオーネ)。
オロヴェーゾやドルイド、そしてケルトの人々が戻って来る気配にポッリオーネたちは急いでその場を去る。


人々が神木であるオークの木を中心とした祭壇の周囲に集まる。そこに巫女の長であるノルマが姿を現す。彼女は「まだローマ征伐の時ではない」と神のお告げを語り、人々の興奮を鎮めた上で、祈りを捧げる「清らかな神よ」(ノルマ)。しかしローマ人のポッリオーネを愛するノルマの心は、複雑である。

祈祷が終わり、人々が去っていった後に、若い巫女のアダルジーザがひとり残る。彼女は道ならぬ恋に悩んでいる。そこにポッリオーネが姿を現し、自分と一緒にローマに逃げようと誘う。ためらうアダルジーザにポッリオーネは「ならば私をお前たちの神の生贄にするがいい」と迫り、アダルジーザは思い悩む「いくがいい、酷い人よ」(ポッリオーネ、アダルジーザ)。

ローマに召喚されたことを自分に言わないポッリオーネの態度に漠然とした不安を抱くノルマのところに、道ならぬ恋に悩むアダルジーザが相談に現れる。彼女の話を聞いたノルマは我が身と照らし合わせて思い出に浸りつつ、アダルジーザを元気づける「ああ、思い出よ」(ノルマ、アダルジーザ)。
しかし、そこにポッリオーネが現れ、ふたりが同じ男を愛していると知る。ポッリオーネはアダルジーザをローマに連れ去ろうとし、ノルマは彼の不実を責める。アダルジーザは自分が命を絶ってポッリオーネをノルマに返すと言う「震えるな、不実な者よ」(ノルマ、アダルジーザ、ポッリオーネ)。
三人が言い争っていると、そこにノルマを呼ぶ聖なる鐘の音が聞こえる。ノルマは儀式のために神殿へと向かい、アダルジーザはポッリオーネの腕を振り払って走り去り、ポッリオーネも怒りながらその場を去る。

【第2幕】
絶望したノルマは、子供たちを道連れに死を選ぼうとする。しかしどうしても可愛い子供たちを手に掛けることが出来ない。ノルマはアダルジーザを呼び、「この子たちを一緒にローマに連れて行ってお前が育てておくれ」と頼む。ノルマが死を選ぼうとしていることを知ったアダルジーザは彼女を押しとどめる「ご覧なさい、ノルマ」(アダルジーザ、ノルマ)。アダルジーザはポッリオーネをノルマのもとに戻すことを約束し、ふたりは互いの友情を確かめ合う「ええ、最期の時まで」(ノルマ、アダルジーザ)。

森の近くでは、兵士たちがローマ人征伐への命令を待っている。オロヴェーゾが「まだノルマの口から神のお告げがない。今しばらくの我慢だ」と彼らに語る「ああ、ローマ人に支配され」(オロヴェーゾ)。

イルミンスルの神殿ではノルマが、アダルジーザに説得されたポッリオーネが自分のもとに戻ってくることを待ちわびている。しかし侍女のクロティルデからポリオーネはアダルジーザの説得に首を縦に振らないと聞かされたノルマは激昂し、祭壇に駆け上がって銅鑼を3回叩き、人々に「ローマへの復讐の時が来た」と伝える。

アダルジーザを連れてローマに逃げようとしたポッリオーネが捕えられて、神殿に連行されて来る。ノルマは「裏切り者が誰なのか、私が尋問する」と言って人払いをし、ポッリオーネに改心を迫る。しかしポッリオーネはそれを聞き入れず、「自分を殺してくれ、ただ子供たちとアダルジーザの命は助けてやってくれ」と懇願する「お前はついに私の手中に落ちました」(ノルマ、ポッリオーネ)。 ノルマが人々を呼び戻し「裏切り者がわかりました。それは私、ノルマです」と告白し、驚くオロヴェーゾや人々の前で、ポッリオーネに「私と共に死ぬのです」と言う「どんな心を裏切ったのか」(ノルマ、ポッリオーネ、オロヴェーゾ、合唱)。彼女の毅然とした態度にポッリオーネは心打たれ、自らの行いを後悔して彼女とともに処刑されることに同意する。
ノルマは涙ながらに父オロヴェーゾに子供達の行く末を託し、ポッリオーネとともに火刑台へと歩を進める「どうか、あの子達を犠牲にしないでください」(ノルマ、ポッリオーネ、オロヴェーゾ、合唱)。
(河野典子)

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