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育成部生の声【選科生】③

オペラ歌手育成
オペラ歌手育成部に所属している入所生たちはどういう授業を受けて、どのような感想をもっているのでしょう?
”育成部生の声”と題して、育成部生にクローズupし実際にインタビューした生の声をお伝えしていきます。

第三回目は選科生アミーチ土曜日夜コースに在籍中の小峰央典さんにお話を伺いました。
小峰さんは昨年2016年度の後半期生(10月~3月)から選科生として入所されました。その後、2017年は通年コースで継続されています。

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Q.この日本オペラ振興会選科生に興味をもち、入所したいと思われたきっかけを教えてください。

A.もともと歌が好きで、高校・大学時代と合唱をやっていたんです。高校で合唱の世界にのめり込み、大学でもと思いましたが、入りたいと思う合唱団ではなかったんです。
そこで、高校の合唱部顧問の先生が社会人対象の合唱団を主宰されていたのでそこに誘われ入団。社会人になっても続けて行きたいと思っていたのですが、仕事が大変忙しくなり、一旦、歌の世界から離れようと。気づいたら15年以上経ってしまっていました。
かつては高校時代、音大を目指そうかと考えるほど、歌にのめり込んでいて、音大への受験準備をするほど本気だったのですが、親から反対されたのもあり、当時は音大への道を断念せざるを得なかったのです。社会人になってからも合唱を続けてはいましたが、ずっと心の中でくすぶり続けるものがありました。

Q.音大に入りプロになりたかったんですね。そこで、すぐオペラ歌手育成部に興味をもたれたんですか?

A.そこに行くまでにまだ段階がありまして。
10年程前、高校時代の恩師の喜寿をお祝いするということで、高校合唱部のOBが集まり、記念演奏会が企画されました。そこで、ずっと歌っていない自分にも声がかかったのです。ブランクはありましたが、久しぶりに歌ってみたら、すごい楽しくて。でもその反面、20年程歌ってなかったので、思うように声が出ない。それが悔しくて悔しくて。そのころは私も40代に入り、やっと仕事だけじゃなく歌を趣味として楽しめる余裕が出てきていましたし、このことをきっかけにその恩師が主宰する混声合唱団にまた入り、宗教曲などを中心に歌い出したんです。でもやはり声がでない。社会人の集まりの合唱団ですとせいぜい週1回練習に行って、発声練習の時間はわずか。しかも個別になんてみてもらえません。「どうにか声がでるようになりたい」という思いが強くなり、近所の音楽教室で声楽を学び始めました。月1回くらいのペースで通っていましたが、だんだん声が出てくるようになり、合唱も楽しくなってきて、もっと欲が出てきてしまいました。年齢層が高めのアマチュアの合唱団だったので、もっと、クオリティを求めるところに入って歌ってみたい、と。入団オーディションがある合唱団に挑戦しましたら無事に合格。
仲間もみんな熱心で、よい演奏をしたいという気持ちの方々が集まっているので、大変いい経験をしました。アンサンブルで合わせるということと自分を消してしまうということとは違う。ちゃんと技術があった上で歌うからアンサンブルは成立するものだというのをそこですごい学びました。だからこそもっと一人でちゃんと歌える人になりたいと思ったんです。

Q.それが入所しようと思ったきっかけなんですね。

A.以前から藤原歌劇団の公演には何度か足を運び観に行っていました。
昔から藤原歌劇団が大好きで、イタリアオペラが特に好きなんです。
私の高校時代は「プラシド・ドミンゴ」が来日したり「キャスリン・バトル」のコマーシャルが流れていた時代で、自分の高校には芸術鑑賞教室で「佐藤しのぶ」さんが来てくれてという環境でした。自然と昔からオペラ歌手の歌声に憧れていたんです。藤原歌劇団の公演の挟み込みチラシの中に、オペラ歌手育成部選科生募集のチラシが入っていて、いつかチャレンジしてみたいな、いつか・・・と時期を探りながらもずっと思っていました。試験があるから、ダメだったら諦めようと。先ほどの合唱団に入って2年ぐらい経ったころ、受けてみなくちゃ始まらないと思って、思い切って昨年の9月にオペラ歌手育成部選科後半期生を受験したんです。

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Q.なぜ前期からの入所試験を待たずに後半期生の入所試験を受けられたのですか?

A.藤原歌劇団の公演が近づくとホームページからチケットを購入していましたから、ホームページでのオペラ歌手育成部の募集広告も目に留まってました。4月からでもよかったのですが、仕事が忙しい2月か3月の入所試験を受けるのは難しかったのです。
そうこうしているうちに夏を迎え、選科後半期生の募集をホームページで見つけて、挑戦したいなと思いました。やりたいと思った気持ちを半年寝かしてしまうとまた気持ちが折れてしまうかもしれないと。せっかく半年でもチャレンジできる機会があるんだったら、それを利用しない手はないなと思いました。また、半年入ってみてお試しでやってみたらどんな雰囲気かもわかりますし。最初から意気込んで1年間となると不安も大きいので。それを考えれば秋から半年やり、楽しかったら来年の春から通年で継続すればいいかと思って。それで思い切って昨年の秋に受けてみたんです。

Q.実際に入ってみていかがですか?

A.想像していたよりもとてもアットホーム。和やかですね。担当してくださる先生方のお蔭なんですが、クラスの方も優しく和やか。あっという間に楽しく半年が経ちました。
今まで合唱で経験したのと違って、テノールの役でしたら僕が責任をもって歌わないといけないですし、一緒に歌う方はソプラノであったりバリトンの先生だったり。対等にはいきませんがなんとか相手役に迷惑をかけないようにしなくてはというところが緊張感もありますし、楽しいです。一人で歌うということはこういうことなんだ、と思いました。
合唱って曲目にもよると思いますが、ちょっと他力本願的なところがあると思うんです。邪魔しちゃいけない、というところとか、苦手なところは他の人に甘えちゃおう、というところがある。でもオペラではそれが許されない。オペラの重唱、一曲を成立させるためにはちゃんと歌えないといけない。一週間に一回、それをみなさん楽しみに来ていらっしゃると思うんで、自分の責任はきちんと果たさないとって思うと、大変だなーと思う部分もあるんですが、逆にやりがいがあります。合唱にはない醍醐味です。
土曜日を中心にした生活のサイクルが出来、とても楽しく、充実してます。こちらに通い始めてから生活に張りができました。週末土曜日個人レッスンと授業のためにしっかり準備をしておきたいと思っています。せっかく先生に授業や個人レッスンの時間を自分のために割いてもらっているのに、体調が悪いとなると、自分も残念だし、先生にも失礼なので。土曜日の前に体調も整えておこうと思うと、平日も不摂生しないようにしようと気を付けるようになり、心身共に健康になりました。
クラスの友達も出来、先生方もよくしてくださいますし、事務局も親切に応対してくださって有り難いです。

Q.そういった意味では、大人になると仕事以外の方々と知り合う機会はあまりないですからいい機会でもありますね。

A.入所試験があるくらいだから志の高い人が集まっているに違いないという期待がありました。だれでも入れてしまうというよりはどうせ勉強するなら志の高い人のところで自分もいっしょに交じって努力できたらなと思ったんです。
実際クラスに入っている方々はバラエティに富んでいて、音大出られている方もいれば、ずーっと長く続けてらしてものすごく上手な方もいるし、私のような素人もいるし。
でも皆さんオペラが好きで、そこが一致している。みなさん入ってくる理由や、経歴は違うのですが、でもオペラが好きで、アンサンブルを楽しみにしてきているというのが自然とクラスみんなに自然と伝わって、そこがとても居心地がいい。入って良かったなと思ってます。

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アミーチ土曜日夜コース授業の様子

Q.小峰さんはお仕事もされていますが、スケジュール的にはタイトになっていらっしゃるのではないかと思います。実際、どのように過ごされているのか、一日の過ごし方や、1週間の流れなど、教えて頂けますか?

A.私は土曜日にアミーチ夜コースの授業と個人レッスン(注1)があるので、そのために一週間を過ごす、というふうに生活のスタイルが変わりました。
以前は仕事して、空いた時間の合間に合唱の音取りをして、という感じでしたが、今は仕事が比較的落ち着いていることもあって、土曜日の個人レッスンと授業のための準備を平日着々としているんです。声出しは自宅では出来ないので仕事の帰り道、レッスンスタジオを借りたり、近所のカラオケボックスに行ったりして。アンサンブル授業を録音しているICレコーダーを聞きなおしながら、復習をします。仕事の都合もあってなかなか毎日というのは厳しいのですが。仕事は9時~17時半で、遅くなる日もありますが最低週に3回~4回は練習したいと思っています。

Q.これから入ってみたいと思われている方に一言お願いします。

A.ホームページや募集要項には詳しく掲載されていますが、百聞は一見に如かずですよね。
後半期生は私がそうであったように、良いシステムだと思うので、ぜひ利用して、お試し気分でもいいのでチャレンジしてみたらいいんじゃないかなと思います。初めての方だけの特典ですしね。
入所試験前には募集説明会もあって、本当に参加したかったのですが、仕事の都合でいけなくて。そこで事務局に何度かお電話していろいろ質問したのですが、試験伴奏者の紹介をしてくださったり、とても親切に応対してもらえて安心しました。それも受けてみようと決意した後押しになりました。
是非興味のある方がいらしたら、いろいろ問い合わせしてみたり、実際の授業もみられる説明会にきてみたら良いと思います。

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Q.これからどのようにオペラと関わっていきたいですか?今後の夢を教えてください。

A.これを歌いたいというのは正直、今はないんです。
入ってばかりのとき、どんな曲を歌いたいですか?と個人レッスンの先生にも質問されたのですが、本当にないんです。それより、今やらなくてはいけないことをしっかりやりたい。今歌いたい曲がやるべき曲ではないような気がして。とにかく上手になりたい。そのためには、今、先生が考えて下さる「今、こういうものをやったほうがいい」というアドバイスを素直に忠実に一つ一つ課題を克服できたら、いつかこういうのを歌ってみたいと思えるようになるのかと思っていて。オペラの公演をきいても、授業のみなさんの歌をきいてもそう思います。今年の3月のアミーチアンサンブルコンサート(注2)には自分は後半期生から入所したので出演できませんでしたが、お客さんとして観ていました。その時、来年一年後に果たして自分がこれを出来るようになるのだろうかと正直ビビりました。お金をとらなくても、人様を客席に迎えて歌を披露するという時に、みなさんがやっていたようなことが自分も堂々とできるのかなと心配になったんですね。一年間でどうにかあの舞台にたてるように頑張らなくちゃと。夢というと変ですけど、今の当面の目標はアミーチアンサンブルコンサートですね。教室の限られたところでなんとなく歌えたような気持になってるんじゃなくて、お客様の前でも堂々と歌える人になる、いつかそうなれるように頑張りたいなと思っています。

来年3月のアミーチアンサンブルコンサート、小峰さんの舞台姿を楽しみにしています!
本日はありがとうございました。

注1:個人レッスン 選科生には基幹授業のアンサンブル授業の他、45分の個人レッスンが半期15回付いている。入所してから定型の曜日と時間枠が決められる。
注2:アミーチコースを一年間継続した選科生が出演する発表会の名称。

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