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  7. Vol.16-坂口裕子 2

CiaOpera!

『ルチア』の奥深い魅力。大好きな方々と共演できる喜び。

—坂口さんの思う、『ルチア』の見どころ、もしくは聴きどころはどこですか?

全部です(笑)。ルチアが第3幕2場で死ぬ前に歌う「狂乱の場」って、あるじゃないですか。あの曲、実は、それまでに出てきた色々な場面のメロディーが隠されているんです。まず、前奏。合唱が途切れたあと、フルートが奏でる寂しげな短調の旋律は、第1幕2場で歌うルチアの登場のアリア「あたりは静けさに包まれ」の歌い出しのメロディーを少し変えたものなんです。そのあとしばらく曲が進むと、エドガルドと密会し愛を誓い合った二重唱のメロディーが出てくる。これは分かりやすいですよね。でもね、これで終わりじゃないんです!曲がずっと進んで、ライモンドがルチアにお家のために犠牲になりなさいと追い討ちをかけるアリア「貴方の身内のために」のメロディーは狂乱の場の後半「苦い涙を流して」に変形して現れているように感じます。ルチアって、次々と強烈な感情を体験していくんですよね。まずエドガルドが遠くへ旅立たなければいけないと知って「ガーン!」とショックを受けますが、離れてもお互いに想いあおうと愛を誓いこのうえない幸せを得る。けれどそのあとエンリーコに偽の手紙を見せられショックを受け、さらに教育係のライモンドにも助けてもらえず、結婚のサインをしてしまい、ルチアはエドガルドに誤解され、密かに愛を誓った指輪をエドガルドに捨てられる。ショッキングな体験をどんどん重ねた末に、人を殺して自分も死ぬというところまでいってしまう。「狂乱の場」のアリアは、ルチアがその境地に至るまでの伏線を語ってくれている、走馬灯のような曲なんです。だから、このアリアを味わうために、全部の場面が見どころなのです!

坂口裕子

−なるほど、声楽の技術的な超絶技巧を聴かせる「超難曲」として知られるアリアですが、音楽的な面でもこれほど魅力にあふれていたとは!これは新しい楽しみ方が増えそうです!

よく考えると、作曲家って結構そういうことをしていると思うんですけど、気付きにくい場合って多いじゃないですか。だから発見したときは、思わずドニゼッティに電話したい気分でした(笑)。

—まさに、「楽譜から得るものに終わりはない」ですね。共演の方々についてもお聞きしたいのですが、今回のキャストのみなさんは初共演ですか?

アルトゥーロ役の曽我雄一さんは、『ドン・パスクワーレ』のときにアンダーで入っていらしたのですが、共演は初めてです。他のみなさんは初めましてですので、すごく楽しみです!

−楽しみですね!マエストロの菊池彦典さんとはご一緒されたと、先ほどもおっしゃっていましたね。

はい。私、菊池先生の指揮が大好きなんです!ひとつのオペラが始まってから、最後指揮を振り終わるまで、先生は本当にオペラの中に生きていらっしゃる。ですから、また今回も先生の指揮のもとで『ルチア』を勉強させていただけるのは、大変光栄なことです。演出の岩田達宗先生は、ご一緒したことはないのですが、舞台を拝見したことはあって、特に広島で見た『カルメン』などは、大変上品で美しい舞台が印象に残っています。舞台上の人物ひとりひとりにドラマを感じられるのです。ですから、今度は私がその演出の一員になれると思うと、とても嬉しいです。『ルチア』もですし、そのあと兵庫の『夕鶴』でもご一緒します。

−そうですね、『夕鶴』にも出演が決まっていらっしゃいますね。

はい。初めての日本オペラです。こちらでは、『ドン・パスクワーレ』でもご一緒した佐藤美枝子さんと、またダブルキャストでご一緒できるので、それもすごく光栄ですし楽しみでもあります!

−「つう」役でのダブルキャストですね。「つう」についての役づくりは、何かもう考えていらっしゃいますか?

「つう」は、姿は人間ですが本当は鶴なので、人間ではないものの持つ「美しくけなげな心」を意識して演じられたらいいな、と思います。

−人間ではないものの持つ、美しい心。とても魅力的な表現ですね。日本オペラのどのような点に魅力を感じますか?

やはり日本人だなぁ、ということを感じられる点ですね。

−どのようなときに、日本人だと感じられるのでしょうか?

そうですね、シンプルですが、着物を着るときです。ただ、困ることがいっぱい出てくるんです!日本舞踊のお稽古にも行っていて、なるべく家の中や稽古場へ行くときも着物を着るようにもしているのですが、手を洗うとき袖はどうしたらいいのかとか、寒い日に羽織を羽織ったはいいけど紐はどう結べばいいんだろうとか、急いでいるときに走りにくいとか…ちょっとした動作に疑問がたくさん湧くのです。

坂口裕子

−いかに普段私たちが洋風に過ごしているかに、気付かされますね。

はい。私は小さい頃にバレエを習っていたので、日舞では所作や拍子のとりかたなどがまったく違いとまどうこともあります。でも、日舞の曲は何かの情景を描いたものなので、役として踊るという点ではオペラに通じるものもあると思います。

−オペラとの共通点があるとは、意外でした!役づくりを大切にされていらっしゃる、坂口さんらしい視点ですね。ありがとうございます。

ルチア
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