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  7. Vol.16-坂口裕子 3

CiaOpera!

「なんでだろう?」を大切に。疑問が、自分を進化させてくれる。

−それにしても、『夕鶴』のほかにも『ドン・ジョヴァンニ』などへの出演が決まっており、これからどんどんご活躍されると思いますが、ご自身で「こんな歌手になりたい」というイメージはありますか?

そうですね…ひとりでも多くのかたの心に残る歌手でありたい、と思います。実際、何年も前にやった役でも未だに「あのときのあの役はすごくよかったよ!」とお声がけいただくことがあったり、公演のあとに残っていてくださって「よかったよ!」とか「また観に行きますね!」と言ってくださるお客様がいると、その方の心に届き、心に残ったのだなと思えて本当に嬉しくなります。一度、たまたま公演前と後どちらもお会いできた方がいて、公演前は「今日は少し体調がよろしくないのかな?」と内心心配になるようなご様子だったのですが、終演後にもう一度お会いしたら、とても生き生きとしたお顔で「すごくよかったです!」と言ってくださったんです。あのときは、嬉しかったですね!

−歌は、人の力になるのですね。

はい、「自分の歌にできることがあるんだな」と気付くことができました。ですので、人の心に届いて、明日からの生きるパワーになるような歌を歌える存在になりたいですし、そんなお客様を拝見すると私自身も励まされて「また次もいい歌を歌えるように頑張らなきゃ」と元気をいただけると思うので、そんなふうに成長していきたいと思います。

坂口裕子

2016年 藤原歌劇団公演「ドン・パスクワーレ」ノリーナ役

−その温かなお気持ちの込もった歌が、きっとたくさんの方の心に届いていきますね。楽しみにしています。ところで、坂口さんはオフの時間はどのように過ごされているのですか?

私、寝る前に漫才を聴くんです。むしろ、聴かないと眠れません(笑)。稽古で歌ったり感情移入したりしてアドレナリンがバーッと出てしまうと、そのまま興奮状態が続いてしまうのですが、15分ぐらいの漫才を耳元でかけると、だいたい5分ぐらいで眠れます。

−それはトライしてみたいですね!

ぜひ、やってみてください(笑)!エンターテインメントは結構好きで、オペラではない舞台もよく観に行きます。ミュージカルとか、演劇とか。

−ご覧になった舞台は、ご自身のオペラへも活かされていると感じますか?

感じます。たとえば説得力のある素敵な作品を観ているときなどは、「なんで今、よかったのか」と考えながら観るようにしています。本当にいい舞台だと、最後は理性も心も持っていかれて、そんなことは考えていられないですけどね(笑)。でも、「何故?」という視点は大切にしながら観るようにしています。

−「何故」の視点ですか。

はい。それは、高校生の頃の歌の先生が「常に疑問を持ちなさい、必ず解決の糸口が見えるから」とおっしゃっていた言葉が、未だに自分の中に残っているからなんです。

−大切な言葉なのですね。

はい。本当に、うまく歌えなかったり表現できない部分について「なんでだろう」とずっと頭に置いておくようにすると、そのうち答えが見えてくるんです。ひとつなくなると、また新しい疑問も出てきて、それをまた解決し、また疑問が湧き、という繰り返しですね。

坂口裕子

−一度にどれぐらいの疑問を、同時に持っていらっしゃるんですか?

平均的に5個ぐらいは持っていると思います。10個を超えると、さすがにちょっと頭がパンパンになりますね(笑)。いいものを観れば観るほど、自分自身に出来ていないことに気付くんです。まず前提として「気付いている出来ないこと」と、「気付いていない出来ないこと」があって、「気付いていない出来ないこと」は考えようがないんですよね。誰かから指摘されたとしても、「そうかなぁ?」と思ってしまう場合もあり、後々自覚した途端に恥ずかしくなります(笑)。舞台鑑賞は、分かっていない自分に、分からせてくれる機会だったりもします。出来ない部分もなるべく受け入れて、疑問を持ち、解決して、進化していかないと!と思います。

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

—今回の質問は、前回お話をお聞きし、『ルチア』では坂口さんの相手役でもある「エドガルド」の西村悟さんから届いています。

大アリア(ルチアの「狂乱の場」など)を歌うとき、どんなことを考えていますか?

いつもより、ひとつテンションを上げます。私は、結構緊張して萎縮してしまうほうなんです。本当は、普通にスゥッといけたらいいんでしょうけど、自分で思っているよりも一段階思いっきりいくと、スルスルっとうまくいくんです。それが、私にとって共演している周りのみなさんと同じ「普通」の状態なんでしょうね。

坂口裕子

—それは、どんな大アリアを歌うときもそうですか?

そうですね。もちろん固くならないように、でも気持ちをひとつ上に持っていく。自分を奮い立たせる、という感じでしょうか。萎縮するのは簡単なことですし、やっぱり見せないようにしようと思っていても、見えてしまうんですよね。それと、アリアってその人物の感情を吐露するじゃないですか。だから、他の誰も助けてくれない、と言ったら語弊があるかもしれませんが、とにかく素の自分に戻らず、自分がその人物としてしっかりしていなければいけないんです。喜劇のときも、悲劇のときも。だから、「よし!」と腹を決めるのです。

−気持ちをひとつ上に、というのは、どんな感覚なのでしょうか?

うーん、とにかく、頭では考えないようにしますね。頭で考えては絶対できないんです。心で、それも役としての心のまま、感覚的に持っていく。「考える」というより、「感じる」というほうが近いかもしれませんね。

−なるほど、イメージしやすくなりました!お話、ありがとうございました。

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:坂口裕子 Yuko SAKAGUCHI

坂口裕子

2016年 藤原歌劇団公演
「ドン・パスクワーレ」
ノリーナ役

愛知県立芸術大学卒業、卒業時に桑原賞受賞。京都市立芸術大学大学院修了、大学院賞受賞。平成20年度文化庁新進芸術家海外留学制度在外研修員。イタリア・ミラノ・G.ヴェルディ国立音楽院を最優秀でディプロマ取得。第37回イタリア声楽コンコルソ入選。2007年ミラノ・G.ヴェルディ国立音楽院ASSAMI声楽コンクール第3位。08年イタリア・リッソーネ市音楽コンクール優勝。
08年スイスにてティチーノ・ムジカ オペラスタジオにて「ブルスキーノ氏」のソフィアを好演し、同役をヴェルディ国立音楽院でも演じる。10年ベルガモ市のチルコロ・ムジカーレ・マイール・ドニゼッティ主催「ランメルモールのルチア」のタイトルロールでデビューし、同主催オペラで「愛の妙薬」「リゴレット」「椿姫」「ノルマ」「ラ・ボエーム」「ドン・パスクワーレ」「アルジェのイタリア女」「奥様女中」「連隊の娘」「夢遊病の女」のアミーナ等多数出演。
2016年藤原歌劇団に「ドン・パスクワーレ」のノリーナでデビュー、今回「ルチア」で2度目の登場となる。また、来年3月には兵庫芸術文化センター/日本オペラ協会共同プロダクション「夕鶴」のつうに出演が決まっている。
平成26年度坂井時忠音楽賞受賞。ジャバテル・サウンド・オペレーションズより支援を受ける。藤原歌劇団団員。兵庫県出身。

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