アーティスト インタビュー

小堀 勇介・中井 奈穂

小堀勇介氏が考えるネモリーノと、中井奈穂氏の描くアディーナ。主役デビューのふたりが語る『愛の妙薬』。

Vol.34

ぜひレパートリーにと願った念願のネモリーノは、人を疑うことを知らず、純粋で、ただひたすらアディーナを想って直感的に生きる人。主役デビューにして藤原歌劇団本公演のデビューともなるアディーナは、頭もよく、自信があり、強さもあるけれどあたたかさも持っている魅力的なイタリアの女の子。経験豊富な共演者やマエストロ、演出家と稽古を重ね、大学の先輩・後輩、そして2016年ロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの同期としてもお互いをよく知る中井奈穂氏と小堀勇介氏ならではの、素晴らしい舞台づくりを目指す。

今最も旬なアーティストのリアルな声や、話題の公演に関する臨場感あるエピソードなど、オペラがもっと楽しめること請け合いの情報をお届けするコーナー「CiaOpera!」。第34弾は、2019年6月29日・30日に日生劇場にて上演の藤原歌劇団・NISSAY OPERA2019公演『愛の妙薬』に、6月30日チームのメインキャストとして出演の中井奈穂氏と小堀勇介氏。作品やそれぞれの役に対する意気込み、共演者について、ご一緒に参加されたロッシーニ・オペラ・フェスティバルでのエピソードなどの貴重なお話を伺いました。

心底純粋なネモリーノを。最高にかわいいアディーナを。

ーそれではまず、中井奈穂さんと小堀勇介さんに、2019年6月29日・30日に日生劇場にて上演される『愛の妙薬』についてお話を伺っていきたいと思います。おふたりは6月30日のチームで、中井さんがヒロイン・アディーナ、小堀さんはその恋人役ネモリーノを演じられますね。この作品に臨むにあたって、それぞれ意気込みをお聞かせいただけますか?

僕は、このネモリーノという役を全幕通して歌うのは初めてなので、ロールデビューということになります。以前からずっと「レパートリーにしたい」と思っていた役ではあったのですが、なかなか作品に触れる機会がなくて。今回は千載一遇のチャンスで、本当にありがたいことだと思っています。お話をいただいたときにはすぐ、「ぜひやらせてください!」とお引き受けしました。ネモリーノという役柄は、本当に純粋で人を疑うことを知らず、自分の思いが強ければきっと相手に届くはずだということを絶対的に信じているという人物なので、これを僕という人間としてどうつくり上げていくか、そして物語そのものをどうつくりあげていくか。演出の粟國淳さんには新国立劇場でもお世話になっていまして、また一緒にお仕事できることが楽しみでしょうがないです。

ー小堀さんは、以前からネモリーノという役を目標にしていらしたのですね。

はい。僕は特に、ルチアーノ・パヴァロッティの演じるネモリーノが大好きで。あの、頭の上がパカーンと開いて響いているような、すごくまっすぐな歌声。声がまっすぐだから、まっすぐな人物像を表現できているのだと思うのですよね。CDからでも、どんな表情で歌っているかっていうのがわかりますし、「声」ですべてを表現するというのはベルカントオペラの真骨頂だと思います。とにかく、ネモリーノの純粋さを表現することに関して、大変参考にしている歌い手のひとりです。

ーパヴァロッティのネモリーノは、今でもよく語られますよね。中井さんの今のお気持ちはいかがでしょうか?中井さんは、今回このアディーナは初役にして、藤原歌劇団の本公演デビューでもありますね。

おめでとうございます!

ありがとうございます!まさかこんなに大きな役で、こんなに素晴らしい劇場で、こんなに素晴らしいオーケストラ、マエストロ、演出の先生、共演者の方々と一緒にデビューさせていただけるとは…そして素晴らしい小堀先輩と(笑)。

いやいや、やめてください(笑)。実は僕たち、同じ大学の先輩・後輩なのです。また、2016年のペーザロでのロッシーニ・オペラ・フェスティバルでも同期でした。

そうなのです。実は先日までイタリアにいたのですが、小堀さんをはじめ皆様とご一緒させていただくにあたって、いろいろなコレペティの先生と一緒に作品を一本丸々通して勉強しました。これまで、本当にほとんど経験というものがなかったですし、この『愛の妙薬』という作品においては特に“イタリア人の感覚”がとても大切だと感じたので、イタリア人の先生がどのように音楽をつくられるかや、他にもたくさんのことを吸収しました。それがどこまで発揮できるかわからないですが、やれることは精一杯やって、最高にかわいいアディーナになれたらいいなと思っています(笑)。

ー「最高にかわいいアディーナ」!楽しみですね!おふたりが考える、本作の見どころというのはどうですか?

やっぱりアンサンブルでしょうか。もちろん各アリアも有名で、特にネモリーノの「人知れぬ涙」は、歌う身としては本当にプレッシャーが強いのですが(笑)。この役をお引き受けするか否かは、あの曲を人前で歌うか否かでもあったのですが、「ここを超えたからこそ、今のスターの歌い手たちはそこに存在しているに違いない」ということを自分に言い聞かせました。なので、アリアももちろんお聞きいただきたいのですが、それよりもメインはアリアではなく、人間と人間のやりとり。ドニゼッティの描く人々の会話の音楽って、ロッシーニよりも瞬発力よく書かれている気がします。言葉のやりとりとか、テンポ感の変化だったりが、「あぁ、現実世界でもそういう反応するよね!」という音楽になっているのです。

本当に上手ですよね。私がいいなと思うのは、ネモリーノのおじさんが莫大な遺産を残して死んでしまい、その相続人はネモリーノなので、彼はいまや億万長者になったらしいわよ!という村の女性たちの合唱ですね。

あそこはいいよね!あの合唱があって物語が劇的に変わるし、ターニングポイントとしてドニゼッティがよく描き込んでいるなと感じます。

そうなのですよね。静かにしないといけないのを忘れて、「それでね、それでね…!!」とどんどん盛り上がっていくのが、楽譜を見ただけでも分かります。強弱や、スタッカートのつけ方もとてもいいです。

「スビトピアノ(音量を急に小さくする手法)」の使い方がうまいのかもしれない。盛り上がっていって、フッと一瞬沈む。そのあとバーンと爆発する。その音楽がエキサイティングです。

ーなるほど。人々のリアルなやりとりが感じられるかのようなアンサンブルや合唱が、実は見どころなのですね。

合唱との絡みなどは、他の作曲家とも違うと思います。粟國さんの演出では、合唱にもひとりひとりに名前があって、役どころも全部決まっているのですが、そのように合唱もひとりひとりが立ってないと、特にこの作品では成立しないのかもしれないですね。アリアって、どうしたって目がいくし記憶にも残ると思うのですが、それだけじゃないということを、声を大にしてお伝えしたいです(笑)。

ーアリア以外の部分の良さを味わうことも、オペラを全編通して観る際の醍醐味といえそうですね。見どころが伝わりました!

ネモリーノは人との出会いを新鮮に。アディーナはイタリア的な魅力を放つ。

ーいくつか、役のキャラクターに関するキーワードもいただきましたが、おふたりご自身のなかで具体的に「こう役作りをしていこう」というイメージなどはお持ちですか?

ネモリーノに関していえば、このオペラで描かれている1日って、彼にとって「奇跡」みたいな話で。まず、ベルコーレの率いる連隊がネモリーノの村に駐屯しにくる。そこで、ベルコーレがアディーナに求婚する。自分の意中の人であるアディーナが他の人と結婚されては困る、どうしようと思っていたところへ、たまたま薬売りのドゥルカマーラがやってくる。「惚れ薬はあるか?」と聞くと、「ある」という。そんな風に物語が展開していくのですが、このなかで「(ネモリーノの)人との出会い」というものを、常に新鮮に感じていたいと僕は考えています。ネモリーノには、「この人はひとりだったら何も出来ないのでは?」という、ちょっと赤ちゃんみたいなところも感じます(笑)。自分では、ひとつひとつの場面で何もすることが出来ないけれど、そこでまったく打算なく、誰かを頼る。でも、「アディーナのことが大好きだ」という一本の軸が彼をつき動かしているのですね。なので、三浦克次さんのドゥルカマーラや、大石洋史さんのベルコーレなど、共演者のみなさんとどういう風に絡み化学反応が起きていくかということを、舞台上でリアルに表現できたらいいですね。

ー人との出会いの新鮮さ、を意識されるのですね。

はい。直感力といいますか。「この人に言えばなんとかしてくれる」という、ある意味では機転が利くけれど、それは『フィガロの結婚』のスザンナのような頭の良さとも違うのですよね。

ー中井さんのアディーナですが、先ほどのお話をお聞きしていて、「ごく自然なアディーナ」のようなものを研究しようとなさっているように感じました。たとえば「イタリア人がどう作るのだろう」と観察されていたあたりなど。

そうですね。アディーナって、日本にいる女の子じゃないなと感じます。すごく頭の回転も速いですし、自信もありますし、自分が欲しいものを手にいれるためにどうすればいいかをすぐ計算できるのですよね。でもそれがあざとくない。「これが好き」と分かったら、そこへ向かってパッと行動できるのです。ただ、ネモリーノのことに関しては、自分が本当は彼のことが好きだったとか、そもそも恋や愛というものを知らなくて、気付くまでに時間がかかりますけれど。この作品のなかで、人間として「成長」とか「変化」があるのってアディーナだけかなと思うのです。だから、そこを楽譜に書いてあることを表現することに加え、情熱を持ってやっていきたいですね。

アディーナの変化、ありますよね。ネモリーノはやりたいことが一貫していて、ひとつのことのために最後まで駆け抜けるけれど。

そうですね。その、ずっと変わらず「好き!好き!」と言ってくれているところや、物事をまっすぐに見ているネモリーノのことが、アディーナは大好きなんですよね。

ネモリーノは、アディーナのことを「ひどい人だ」と思うことはあるのだけど、絶対に彼女に対して直接的に傷つけるようなことは言わないのです。“天然のやさしさ”がありますね。妙薬を手にして、「明日になったら彼女は僕のことを好きになってくれる」と信じて疑わず、その瞬間は少しアディーナに対しても強く出るのですが、冒頭にお話ししたようにアディーナがベルコーレと今日中に結婚する、という話になると哀願する。でもその理由が「今日結婚してしまったら、明日君は後悔する。君に苦しみがふりかかってしまう!だから今日だけはやめてくれ!」というのです。自分の恋が実らないということより、アディーナが苦しむことを心配するあたりも、ネモリーノが自覚してない器の大きさですよね。僕が今の年齢まで生きてきて表現しようとすると、つい自発的な器の大きさアピールになってしまいそうなのですが(笑)、そこをいかに制限しながら表現するかが課題かなと思います。

ーそうなのですね。中井さん、稽古をされていて小堀さんのこの取り組みは感じますか?

削ぎ落とそうとしている感じは、とても伝わります。ネモリーノのこの純粋さの表現、難しいですよね。アディーナはアディーナで、常に優位に立っていないとイヤなタイプだし。でも、そのあたりはイタリア人の女の子たちが上手な気がする。

それはそうかもしれない。やっぱり“マンマ”の文化なのでしょうね!ヨーロッパの女性って、若い子でもちょっと年上らしく振舞おうとするところがあると思うのです。

そうかもしれません。「かわいい」「きれい」の基準も違いますし。生き抜いていく上で人間としての強さを持っている人こそが、女性として魅力的なのです。だから男の人が、マンマに全部任せてしまう。

そうですよね。お母さんにもそうですし、お母さんに似ている人を奥さんに選ぶことも多いのです。

ーそうなのですね!まさにイタリアの魅力的な女の子であるアディーナ、中井さんの表現が楽しみです。

心強い共演者について。共に挑んだイタリアの夏について。

ー共演者の方々は、おふたりとも初めての方が多いでしょうか?

僕は、ほとんど皆さんが初めてです。

私は、大学院のオペラで三浦克次さん、大石洋史さんとご一緒しました。しかも、そのときも初めてのオペラで、演目は『愛の妙薬』でした!私はジャンネッタ役でしたが。

ー大学院で初めてのオペラも『愛の妙薬』、今回も『愛の妙薬』。ご縁がありますね!

本当にそうですね(笑)。

三浦さんは、もうずっとドゥルカマーラで何プロダクションもやってこられたと伺いましたし、今回稽古でご一緒してもそれが伝わり、三浦さんがそれぞれの場面で何をなさりたいかが明確に分かるのです。また、ご自分の役だけでなく他の役についても、歌い手それぞれがどういうタイミングで何をしたら作品としてグッと締まるものになるかというアドバイスをくださり、舵取り役をしてくださっています。大石さんは、藤原歌劇団本公演でのベルコーレは初めてとおっしゃっていましたが、ご経験はもちろん豊富ですし、おふたりは強力な2本の柱という感じで心強いです。

ー心強いですね。マエストロの山下一史さんとは、今回が初めてのお仕事ですか?

はい、初めてなのですが、稽古で何度かお越しいただき、オーケストラと歌い手との関係性を綿密に考えていらっしゃるのだと感じました。

いつも「オーケストラを想像して」とおっしゃいますよね。

そうですね。すごく音楽的な視点から作品をご覧になっていると思います。もちろんドラマについても把握されていながら、舞台作りは演出家である粟國さんに、と明確な住み分けをされているのが感じられ、おふたりの視点が融合して素晴らしい作品が作り上げられると思います。

ー本当に、素晴らしい作品になりそうです。何よりも中井さんと小堀さんのおふたりが、お互いによくご存知なことも、素敵なアディーナとネモリーノを拝見できそうだと思えます。おふたりが参加された、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルのお話も少しお伺いできますか?

はい。あれは楽しかったですね!2016年の夏、2ヶ月間の参加でした。ロッシーニ・オペラ・フェスティバル自体は、ペーザロというロッシーニが生まれた町で毎年開かれています。僕はその前の2015年12月からイタリアに留学していて、3ヶ月後の2016年3月にオーディションを受け、結果的に僕と、中井さんと、もうひとり山本康寛さんというテノールの方が参加されました。あとでゼッダ先生にお聞きしたら、「今年は稀なんだよ、日本人で3人とる年はないんだよ。中井さんがすごくいい歌を歌ったので、僕は彼女をとったんだ」とおっしゃっていました。

本当ですか?私はあの頃イタリア語がほとんどわからなくて、常に怒られていると思っていたのです(笑)。

褒めていたんだよ(笑)。僕もゼッダ先生のお言葉を聞いて、「そうか、よし頑張るぞ」と思いました。そこから2週間のアカデミア期間を経て、1ヶ月半後にある『ランスへの旅』のキャスティングがされていくのですが、みんな複数の役を同時に勉強して、その中でオーディションの日までに仕上げられ、なおかつその人に合う役が選ばれるのです。そこには妥協や優しさは一切なくシビアで、けれど合理的な決め方でもありました。

あの夏は濃かった…今思い出しても涙が出そうです。でもあの経験があったから、私は今ここで歌っていられるんだと思います。あのときに覚悟も決まったし、得たものの大きさは計り知れません。

ひとつエピソードがあって。アカデミアの期間中、ダミアーノ・ミキエレットという演出家の方が、1コマだけ舞台での動きのマスタークラスを開講しにきてくれたのです。そのとき、最初に各々自己紹介をする場面があって、当時の日本人のメンバーのなかでは僕がどちらかというとイタリア語が話せたので、中井さんの通訳をしようかなと思っていたら、「いえ、先輩。ここは自分でいきます」と言ったのです。「かっこいいー!」と思いましたね(笑)。

赤ちゃんがしゃべるような感じで、ポツリ、ポツリでしたけどね(笑)。

いえいえ、その心意気がすごい。それでこそプリマだなと思いましたよ。それまで、一緒にいたクラスの人たちはなんとなくよそよそしかったのですが、その出来事をきっかけに「ナオ、ナオ!」と声をかけるようになったのです。

みんないい子だった!

そうだったね!いろんな国籍だったし。今では皆さん、すごく活躍されています。僕自身の思い出としては、アカデミア中、僕にとって理想のテノール歌手であるファン・ディエゴ・フローレスのマスタークラスが1日あったことです。それで、僕はその日をすごく心待ちにしていたのですが、なんと前日に声が出なくなって!ゼッダ先生も、「お前の声はファン・ディエゴに聞かせたかったのだけど、しょうがない、声が出ないのなら今日は休め。聞くだけでも勉強になるから。」と言われたので、あのときはもう断腸の思いでイスに座りましたね。でも、人の声が、フローレスのアドバイスでどう変わるのかということはつぶさに観察できて、よかったのですけれど。

私自身がよく覚えているのは、『ランスへの旅』のフィナーレか何かを稽古をしていたときだと思います。そこへゼッダ先生がふらりと入っていらして、しばらく稽古を見学されて、途中で突然「こんなんじゃダメだ!」と怒り出したのです。そして、先生ご自身が指揮を振りはじめた瞬間、「あ、音楽ってこんなにカラフルなんだ!」とびっくりしました。その一瞬で、空気も、においも、色も全部変わって。「あ、本当はこうやって歌わなくてはいけなかったんだ。芸術ってこういうものなんだ」と感動しました。そして、私がやろうとしているのはこういう世界で、まず自分自身が感動しなければいけないし、けれど自分だけで感動するだけでなくその感動を、押し付けではなく、お客様自身がビリビリと感じるかのように “伝染”させていかなければいけないのだと思いました。大切なことを教えてくださったゼッダ先生と同じ空間にいられて、とても幸せでしたね。

聞いてみタイム♪ アーティストからアーティストへ質問リレー。
笛田博昭さんから、中井奈穂さん・小堀勇介さんへ。

ー今回は、前回の笛田博昭さんから、中井奈穂さん、小堀勇介さんに、ちょっと本質的な質問をお預かりしています。

ーお二人にとって“歌”とは何ですか?

深い質問ですね!僕にとって、歌は自分自身をよりまっすぐに表現してくれるひとつのコミュニケーション・ツールでしょうか。ついつい言葉だといらないことを言ってしまったり、意図してないところが伝わってしまったりということってあると思うのですが、歌を歌っているときって、純粋に自分のなかの音楽性だったり、自分が普段考えているようなことをさらに掘り下げたようなこと、普段自分では絶対口には出来ないようなことも、歌に乗せると明確にコミュニケーション出来ると思います。だから、しゃべるよりも、もしかすると僕にとってはラクかもしれない(笑)。最近、コンサートが終わったあとの会場でも、僕の歌った歌を受け止めてくださったお客様とお話すると、「あ、ちゃんと舞台上からコミュニケーションがとれていたかもしれないな」と感じることが増えてきたと思います。僕にとって歌とは、雄弁に自分を伝えられるものといえます。

私は、歌からいろいろ学ばせてもらっていると思います。感情とか、言葉とか、全部のことを。歌、というより声を発することって、そうしようと思えば何も感じずにできてしまう面もある気がするのですが、そこに気持ちや魂を込めようと思ったらたくさん歌を読むし、そこからいろいろな事を知る…ということでしょうか。歌を歌うことによって、日々、心が豊かになりつつあると思います。

ー小堀さんにとっては、よりまっすぐご自身を表現するコミュニケーション・ツール、中井さんにとっては歌に多くの学びを見出して、心の豊かさを得ているのですね。お答え、ありがとうございます。

取材・まとめ 眞木 茜

ⓒT. Tairadate

小堀 勇介

テノール/Tenor

出身:福島県

国立音楽大学卒業、同大学大学院修了。卒業時に矢田部賞、修了時に声楽部門最優秀賞を受賞。卒業時に宮内庁主催の桃華楽堂新人演奏会に出演。新国立劇場オペラ研修所第15期修了。2016年文化庁新進芸術家海外研修生として、1年間イタリアのボローニャへ留学。第7回静岡国際オペラコンクール入選並びに三浦環特別賞を受賞。第36回飯塚新人音楽コンクール第1位。第16回東京音楽コンクール声楽部門第2位。これまでに福井敬、S.ベルトッキの各氏に師事。 新国立劇場オペラ研修所修了後に、沼尻竜典作曲「竹取物語」の石作皇子並びに大将として出演。留学中は故A.ゼッダ氏のもとで研鑽を積み、イタリアのペーザロにて16年ロッシーニ・アカデミーに参加し「ランスへの旅」のリーベンスコフ伯爵、カナダのルーネンバーグではロッシーニ・オペラ・アカデミー2016に参加し「ラ・チェネレントラ」のドン・ラミーロとして出演。帰国直前にオーストリアにてG.クーン氏の指揮のもと、チロル祝祭歌劇場公演「アルジェのイタリア女」のリンドーロで本格的なヨーロッパ・デビューを果たした。17年に帰国し、びわ湖ホール公演(指揮:園田隆一郎)「連隊の娘」のトニオで出演。 藤原歌劇団には、18年「ラ・チェネレントラ」のドン・ラミーロでデビュー。同役は大阪国際フェスティバル公演にも出演し、両公演ともに大喝采を浴びたのは記憶に新しい。本年11月ベルカントオペラフェスティバル イン ジャパン2019「貞節の勝利」のフラミーニオ・カストラヴァッカで出演予定。 その他、フランスにてメドック音楽祭のデュオ・コンサート、イタリアのローマにてモーツァルト(指揮:西本智実)「戴冠ミサ」及び「レクイエム」のソリストを務めるなど、海外でも活躍している。主にレッジェーロの役柄をレパートリーにしており、若手テノールとして注目を集めている。 日本ロッシーニ協会会員。イルミナート・フィル登録アーティスト。福島県出身。https://www.kobori-tenor.com

今後出演予定の公演情報

©︎Virginio Levrio

中井 奈穂

ソプラノ/Soprano

藤原歌劇団 正団員 日本オペラ協会 正会員

出身:静岡県

国立音楽大学卒業。昭和音楽大学大学院修了。第21回日本クラシック音楽コンクール声楽部門一般の部第4位。第51回、第54回日伊コンコルソ入選。第1回立石信雄海外研修奨学金、昭和音楽大学下八川圭祐基金、同大学同伶会海外研修奨学金を得て、イタリア・ミラノに留学。ロッシーニ・オペラ・アカデミー参加。

公演依頼・出演依頼 Performance Requests
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