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CiaOpera!

CiaOpera!(チャオペラ)Vol.37 山本康寛 1
Vol.37 -
山本康寛氏

あの名作《紅天女》が“スーパーオペラ”に。仏師・一真役の山本氏に聞く。

名作コミック『ガラスの仮面』の中に、幻の戯曲として描かれる《紅天女》。そのなかの仏師・一真役を務めるのは、原作ファンの方の期待値が高いだけに、ハードルも高い。けれど、自分自身も舞台に立つ身として、大いに惹きつけられた役であり、セリフであり、ドラマがある。お客様の期待を満たせるように頑張りたい。心理描写や言葉を大切に、お客様へ瞬時に伝わるような表現を心がけながら、初の試みがたくさん詰まった“スーパーオペラ”を共演者やスタッフの方々とつくりあげたい。「一流を目指したい」と目覚めたあのイタリアでの衝撃や、おいしい料理をつくりながら過ごす休日を糧に、さらなる成長へとつなげていきたい。

今最も旬なアーティストのリアルな声や、話題の公演に関する臨場感あるエピソードなど、オペラがもっと楽しめること請け合いの情報をお届けするコーナー「CiaOpera!」。第37弾は、日本オペラ協会公演のスーパーオペラ『紅天女』に、1月11日・13日・15日の仏師・一真役としてご出演の山本康寛氏。国民的な人気コミックが原作の本公演に臨む意気込みや、一真の役づくり、共演者のお話や本作が“スーパーオペラ”たるゆえんなど、そしてロッシーニ・フェスティバルに参加して受けた大いなる刺激や、お料理男子としての一面なども伺いました。

お客様の期待も、ハードルも高い。だからこそ、自分もワクワクしている。

−今回は、2020年1月11日より上演される、日本オペラ協会公演“スーパーオペラ”『紅天女』にて、仏師・一真役を務められる山本康寛さんにお話を伺います。本オペラは、大人気コミック《ガラスの仮面》のなかで、舞台に情熱を注ぐ主人公たちにとって憧れの、“幻の名作”として描かれる戯曲『紅天女』が原作となっていますね。山本さん、さっそくですが、この注目の公演にのぞむにあたっての意気込みをお聞かせいただけますか?

この作品は、原作がコミックであるということが、オペラというものへの間口を広げてくれていると感じます。ですが、これだけの人気作品ですので、観に来てくださる方々の期待値はすごく高く、そのぶん演じる側のハードルもかなり高いと思うのです。ですので、ちゃんとお客様の想像している世界を満たせるような舞台にしたいと思います。

山本康寛氏

—そうですね、人気作品ならではの難しさもありますよね。

はい。少女漫画だったこともあり、僕はオーディションを受けるにあたって初めてこの《ガラスの仮面》を読んだのですが、題材が「舞台の表現者たち」ということで自分にとってもグッと心に刺さる表現がたくさんありましたし、『紅天女』についても「これは面白い!」と感じました。同時に、お客様にも舞台がお好きな方や、舞台関係の方などがいつも以上にいらっしゃるかもしれないと思えて、自分のなかでどんどんハードルが上がっています(笑)。実際、今回ヒロインの阿古夜×紅天女を演じる小林沙羅さんと笠松はるさんは、舞台を目指すきっかけのひとつになった作品であると話されていました。

—なるほど、山本さんも魅力をお感じになったのですね。舞台を目指す方にとってはバイブル的な作品ともいわれるだけありますね。山本さんは、今回の仏師・一真役をオーディションで射止められたとのことで、まさに『ガラスの仮面』のようですが、この役を受けてみようと思われたきっかけは何でしたか?

藤原歌劇団公演「ランスへの旅」2019年

藤原歌劇団公演「ランスへの旅」2019年

今回のマエストロ・園田隆一郎さんとは、先日の藤原歌劇団本公演『ランスへの旅』をはじめ、もう何度も一緒にお仕事をさせていただいているのですが、その園田さんがやはり指揮されるということで興味を持ちました。周りからも「受けてみたら?」という勧めがあり、それを機に原作を読んだところ、こんなに舞台のことがよく描き込まれた作品なことにとても惹かれ、「これはぜひやってみたい!」という思いがどんどん強くなったのです。原作は演劇、僕はオペラではありますが、「舞台」という大きなカテゴリーで見たときに、自分でも感じたことのある思いや出来事もたくさん描かれていて、とても好きになりました。個人的に、原作で好きな登場人物は「源造さん」です(笑)。

—源造さん、演技がとてもいいですよね(笑)。では、「舞台」という切り口で共感する部分が多かったのですね。今回のこの一真という役、実際に舞台で表現するにあたってはどういう人物像にしようとイメージされていますか?

そうですね、まず常識もあって、とても人間らしい人。けれど、人間の汚れたところを目にしてしまったとき、“人間”というものを諦めてしまったりもする。ある意味、とても素直で裏表のない、自分が信じたことをやっている人という印象を抱いています。仏像を彫る仏師という仕事も、はじめは与えられた仕事としてやっていながらも仏像のことは神聖なものだと思っていた。けれど、神聖に扱われていない仏像もあるということを知ったときに、表面上は良く見せていてもその裏は違うという人間の黒い部分を見過ごすことができずに、自分がやっていたことは意味のないことなんだ、と人間的であることを諦めきってしまい、一度野盗にまで堕ちる。それで人から金品を奪って「楽しく暮らせばいいんだ」というふうに生きてみるけれど、やっぱり仏を彫っていくのですよね。 南北朝時代という、人の死というものがとても近い時代だからこそ、身近であるがゆえに消えてゆく命に対して「何か自分にもできることがあるのではないか」と心の底では思っているのかもしれません。自分の行動に対して強い自信を持っているわけではないけれど、心に強い芯は持っている、そんなキャラクターだと思います。原作にもあって、今回の台本にも書いてあるのですが、「死ねば恋が終わるとは思わぬ」というセリフがお気に入りです(笑)。作中、マヤたちが心動かされるセリフで、これを聞いてとても驚いたようですが、僕は驚くというよりなんだかストンと腑に落ちました。もしかしたら、恋愛観は近いのかもしれません。


—そうかもしれませんね。腑に落ちたということは、一真と通じ合うものがあるのだと思います。山本さんの一真、楽しみです。

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