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作品について

ドニゼッティ作曲

オペラ全3幕 字幕付き原語上演

イントロダクション

2016年7月に藤原歌劇団は、日生劇場・びわ湖ホール・日本センチュリー交響楽団との共同制作で「ドン・パスクワーレ」を公演することになりました。 藤原歌劇団が前回この「ドン・パスクワーレ」を手掛けたのは、1975年の福村芳一指揮による日本語上演でした(出演:岡村喬生Bs、木村俊光Br、五十嵐喜芳T、松本美和子S)。 41年ぶりとなる今回の日生劇場における公演は、原語上演。イタリア・オペラを知り尽くしている菊池彦典を指揮者に迎え、ベルガモ・ドニゼッティ劇場の元芸術監督でもあるフランチェスコ・ベッロットが演出を担当します。
ダブルキャストでお送りする東京公演では、タイトルロールのドン・パスクワーレ(Br)を牧野正人(7/1&3)と折江忠道(7/2)の芸達者なヴェテラン2人が務めます。 「狂言回し」役のマラテスタ(Br)に森口賢二(7/1&3)と押川浩士(7/2)、エルネスト(T)には、中国出身で、現在ドイツで活躍中の許昌(シュー・チャン7/1&3)と、 昨年12月に「仮面舞踏会」のリッカルド役で注目を集めたばかりの藤田卓也(7/2)をそれぞれ配し、ノリーナ(S)役には、ベルカント・オペラの第一人者、佐藤美枝子(7/1&3)と、 関西を中心に活躍中の気鋭、坂口裕子(7/2)が出演します。なお、許昌と坂口裕子は、この公演が藤原歌劇団へのデビューとなります。

見どころ・聴きどころ

このオペラには、広く知られるノリーナが歌うカヴァティーナ「騎士はその眼差しに射抜かれて」をはじめとして、マラテスタが、パスクワーレに花嫁候補の美しさを語って聞かせる「天使のように美しい娘」、 財産も恋も諦めねばならないと絶望したエルネストが歌う「甘く、清らかな夢よ」(第1幕)と、ローマから一人去ろうと哀愁を込めて歌われる「見知らぬ遠い土地で」(第2幕)など、美しいアリアの数々があります。
しかし、このオペラの真骨頂は、ヴァラエティ豊かで、いずれも完成度の高い重唱(アンサンブル)にあります。 特に第3幕で、パスクワーレがマラテスタとともに、妻の密会現場に乗り込むことを相談する二重唱「そっと、そっと」での、これでもか!という早口の応酬は、二人の低声歌手による名人芸の見せどころです。

あらすじ

【第1幕】
70歳になるまで独り身を通してきた金持ちのドン・パスクワーレが、主治医のマラテスタが来るのを待ち侘びている。 パスクワーレは、甥のエルネストを良家の娘と結婚させた上で、彼に全財産を継がせようと考えていたのだが、当のエルネストは、若く美しい未亡人のノリーナに夢中で、伯父の進める縁談には見向きもしない。 業を煮やしたパスクワーレは「ならば自分が結婚をして直系の跡取りを作り、その子に財産をすべて継がせる」と、マラテスタに花嫁探しを依頼したのである。
マラテスタが登場。彼はパスクワーレの主治医であると同時に、エルネストの親友でもある。マラテスタは、親友の恋を後押ししようと一計を案ずる。 その案とは、まずノリーナが、修道院にいるおとなしい彼の妹、ソフローニアになりすまして、パスクワーレの偽の花嫁になる。 婚姻届にサインをしたとたんに彼女がわがまま放題な女に豹変して、パスクワーレを辟易とさせ、「こんな暮らしを続けるぐらいなら、いっそエルネストとノリーナが結婚してくれた方が百倍マシだ」と思わせて、 パスクワーレに若い二人の結婚を認めさせようというもの。マラテスタは、言葉巧みに「天使のように美しい妹が、あなたの花嫁にぴったりだ」と勧め、パスクワーレはすぐにその気になる。 パスクワーレは、エルネストを呼んで「わしが結婚する。お前に財産は継がせない。出て行け!」と宣言する。伯父の結婚話に力を貸しているのが、親友のマラテスタと聞いて、エルネストは二重のショックを受ける。
ところ変わって、ノリーナの家では、彼女が中世の騎士の恋物語を読んでいる。途中でその本を放り出した彼女は「私の方がよほど恋の手管に長けているわ。私は冗談も大好き。怒りを笑いに変える才能もあるわ」 と自信たっぷりに語る。マラテスタがやって来て、今回の計画を彼女に説明する。ノリーナは「任せておいて!」と胸を張る。

【第2幕】
今回の出来事が、マラテスタが自分のために立てた作戦であることなど露知らぬエルネストが、我が身に突然降りかかった不幸を嘆いている。
パスクワーレのところに、妹のソフローニア(扮装したノリーナ)を連れたマラテスタが現れる。ソフローニアの清楚で慎み深い様子に、パスクワーレは舞い上がり「すぐに結婚する」と言う。 そこで偽の公証人(マラテスタのいとこ)によって結婚の手続きが行われる。そこにエルネストが、伯父に別れを告げにやってきて、伯父と結婚しようとしているのが、愛するノリーナであることに驚く。 すかさずマラテスタが彼に「これは芝居だ」と耳打ちして、エルネストはすぐに状況を飲み込む。
パスクワーレが婚姻のサインをした途端、ソフローニアは豹変してあれやこれやと注文を付け始める。思わぬ事の成り行きにパスクワーレは唖然とするばかり。その様子にあとの三人は「してやったり!」と大喜びする。

【第3幕】
部屋中のどこもかしこも新妻の洋服や帽子、アクセサリー、靴などが散乱している。請求書の山を前に、パスクワーレは頭を抱えている。 結婚式当日の夜から劇場見物に行くという妻をパスクワーレは諌めるが、「爺さんはさっさとお休みになったらいかが?」と言われる始末である。 出掛けるソフローニアが落とした手紙を拾って読めば、そこには「今夜9時から10時の間に庭でお待ちしております。あなたを愛する者より」と書かれている。 パスクワーレはこの結婚をすでに後悔しはじめ、マラテスタに「こんなことならノリーナとエルネストを結婚させておけばよかった」と愚痴る。 マラテスタは笑いをこらえながら「ならば、私たちでその密会現場を押さえて、妹をこの家から追い出しましょう」と提案する。
庭ではエルネストが、ノリーナを想ってセレナードを歌っている。そこにソフローニア(=ノリーナ)が現れ、二人は愛を語り合う。パスクワーレとマラテスタが近づいてくる気配に、エルネストは慌てて身を隠す。 パスクワーレがどんなに怒り狂っても、ソフローニアは「なんのお話かしら?」ととぼけるばかりで埒があかない。 そこでマラテスタが、妹の説得に乗り出すふりで「明日、エルネストの花嫁としてノリーナがやってくることになった」と言うので、彼女は「他の女と同居するなんてまっぴらだわ」と家から出て行くことを了承する。 ここでもう一押しと、マラテスタは、パスクワーレに向かって「妹を確実にこの家から追い出すためには、今すぐエルネストとノリーナを結婚させたほうがいい」と助言する。 パスクワーレはそれを了承し、エルネストに向かって「ノリーナをいますぐここに呼んできなさい」と命ずる。これで計画は見事に成就だ。そこで、マラテスタがパスクワーレに種明かしをする。 「ノリーナはここにいます。彼女がノリーナです」とソフローニアのことを改めて紹介する。パスクワーレは、自分が彼らに嵌められたことをすぐに悟り、寛大な心で彼らを赦して、若い二人の結婚を祝福する。
(河野典子)

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