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作品について

ビゼー作曲

オペラ全4幕 字幕付き原語上演

イントロダクション

注目の若手指揮者、山田和樹が初めてオペラ指揮者としてオーケストラピットに入るのが、岩田達宗によるニュープロダクションの「カルメン」です。
カルメン役には、スケールの大きな歌唱で、国際的に活躍しているセルビア出身のミリヤーナ・ニコリッチ(2/3&5&11)と、ポーランド出身で、フランスで学んだ新進気鋭のメッゾ・ソプラノ、ゴーシャ・コヴァリンスカ(2/4)が、どちらも藤原歌劇団公演に初登場します。
ドン・ホセは、これからの藤原歌劇団の中心テノールとなるであろうふたり、笛田博昭(2/3&5&11)、藤田卓也(2/4)が務めます。
またエスカミーリョには、すでに数々の舞台でプリモ・バリトンを務める須藤慎吾(2/3&5)とのダブルキャストで、中国山東省出身で、イギリスのBBCカーディフ2011でファイナリストになった新進気鋭の王立夫(ワン・リーフ)(2/4&11)を抜擢しました。
今回が当団公演初登場の小林沙羅(2/3&5)と、生え抜きの伊藤晴(2/4&11)が、ミカエラ役に初挑戦します。
次世代の藤原歌劇団を担うキャストを揃えた「カルメン」、どうぞご期待ください。

見どころ・聴きどころ

フランスの作曲家、ジョルジョ・ビゼー(1838〜75)を代表するオペラが、この「カルメン」。彼の他のオペラ「真珠採り」や「アルルの女」とは比較にならないほど、世界中で親しまれている作品です。
主要キャストには、それぞれ有名なアリアがあります。カルメンの「ハバネラ」「セギディーリャ」「カルタの歌」をはじめ、エスカミーリョの「闘牛士の歌(クープレ)」、ドン・ホセの「花の歌」、ミカエラの「何を恐れることがありましょう」など、枚挙にいとまがありません。また幕切れでのカルメンとホセが対決する「あんたね、俺だ」の二重唱は、息を呑むような緊迫感をビゼーの音楽が見事に描き出しています。

あらすじ

【第1幕】
セビリャ、タバコ工場の前の広場
お下げ髪の田舎娘ミカエラが、衛兵の詰所に伍長のドン・ホセを訪ねてくる。モラレスに「ホセは次の交代でやってくる」と聞かされた彼女は、兵隊たちが「ここで待てばいい」と声をかけるのを断って、一度その場から去る。
衛兵の交代の時間。兵隊の真似をする子供達に先導されて、ホセのいる部隊がやってくる。モラレスから、若い娘の来訪者の話を聞いたホセは「それは故郷ナバーラからきたミカエラに違いない」と言う。
タバコ工場の昼休みを告げる鐘が鳴る。女工たちが工場から出てくるが、なかでも妖艶なジプシー女カルメンに男たちが群がる。しかしホセは彼女に興味を示さない。カルメンは、「恋は思い通りになんてならないものさ」と言いながら、わざとホセに近付き、口にくわえていた花一輪を彼に投げつけて走り去る『ハバネラ』。ホセはその花を拾い上げ、大切そうに胸のポケットにしまう。
そこにミカエラが戻ってくる。ミカエラはホセの母親から息子への手紙とお金を渡し、そして「これはお母様からのキス」と顔を真っ赤に染めながらホセの顔にキスをして去っていく。 工場の中で騒ぎが起きる。カルメンが他の女工と喧嘩をしたのだ。申し開きもせず鼻歌を歌うカルメンの態度に腹を立てたホセの上官、スニガは、カルメンの護送をホセに命じる。カルメンは「逃がしてくれたら、セビリャの城壁近くにあるリーリャス・パスティアの店で待っているわ」『セギディーリャ』と囁いてホセに縄を解かせ、隙を突いてホセを突き飛ばし、走り去る。

【第2幕】
リーリャス・パスティアの居酒屋
一ヶ月ほどが過ぎたセビリャの城壁近くの酒場。ジプシーの女たちと、スニガやモラレスたち士官たちが呑んで騒いでいる。タンバリンやカスタネットに合わせ、カルメンたちが歌い踊る『ジプシーの歌』。
そろそろ閉店の時間だと言って店主のリーリャス・パスティアが士官たちを急き立てようとするが、そこに花形闘牛士のエスカミーリョが現れ、勇ましく闘牛の様子を語る『闘牛士の歌』。人々は喝采を送る。エスカミーリョが、カルメンに言い寄るが「今はそんな気分じゃないわ」とカルメンはすげなく断る。エスカミーリョはその答えに、その場はすっと引き、兵士たちとともに店をでていく。カルメンに惹かれているスニガは「一時間後に戻ってくる」と去り際に彼女に囁く。
店に残ったのはジプシーの女たちと店主、そしてダンカイロとレメンダード。
彼らは密輸を商売にしている『五重唱:いい商売を思いついた』。
カルメンが「私は恋人を待っているから、一緒には出発できないわ」と言っていると、外からホセの歌声が聞こえてくる『アルカラの軽騎兵』。仲間たちは、ホセを仲間に引き入れろ、とカルメンに言って姿を隠す。
昨日営倉から出たばかりで、一兵卒に格下げになったホセが現れる。カルメンは、彼を歓迎して歌い踊る。そこに帰営ラッパが聞こえてくる。帰ろうとするホセをカルメンがなじる。ホセは、ずっと持っていたカルメンが彼に投げた花を取り出して、彼女への愛を語る『花の歌』。
そこにスニガが戻ってくる。ホセの姿を見つけ、彼を咎める。ホセがスニガに剣を抜こうとした瞬間、カルメンがダンカイロたちを呼び、スニガは彼らに押さえつけられて店から放り出される。もう中隊に戻れなくなったホセは、密輸団に加わることになる。

【第3幕】
セビリャ近郊の山の中
穏やかなメロディの間奏曲が終わると、そこでは密輸業者たちがひと休みしている。カルメンのホセへの愛はすでに冷め始めている。フラスキータとメルセデスがやっていたカード占いにカルメンが加わる。彼女がめくるカードにはなんどやっても「死」が予言される『カルタの歌』。
ミカエラが案内人に連れられてやってくる。彼女はホセに彼の母親の病気が重く、彼に一目会いたがっていることを伝えにやってきたのだ『何を恐れることがありましょう』。人の来る気配にミカエラは岩かげに身を隠す。それはカルメンを探しにやってきたエスカミーリョだった。今度は見回りをしていたホセが気付き、彼に向かって発砲し、その弾がエスカミーリョをかすめる。ホセとエスカミーリョが決闘を始めるが、カルメンとダンカイロが駆けつけて、ふたりを引き離す。エスカミーリョは全員をセビリャの闘牛に招待する、と言って去っていく。
密輸団が出発しようとしたとき、レメンダードがミカエラを見つける。彼女から母が死にそうであることを聞かされたホセは、カルメンに後ろ髪を引かれる思いを残しつつ、ミカエラと山を下りていく。

【第4幕】
セビリャの闘牛場の前
第3幕から一ヶ月後。闘牛の開始を前に、人々で賑わう広場。華やかな衣装に身を包んだ闘牛士たちの行列がやってくる。エスカミーリョとカルメンは恋人どうしの会話を交わし、闘牛士たちは闘牛場へとはいっていく。フラスキータはカルメンに「ホセが群衆に紛れて、あんたの命を狙っているわ」と忠告するが、カルメンはそれを鼻で笑う。
群衆が闘牛場の中へと入っていき、広場が静かになった時、カルメンの前にホセが立ちはだかる。ホセはカルメンに、もう一度自分とやり直してほしいと懇願するが、カルメンは断る。闘牛場の中で、歓声が上がる。カルメンが闘牛場へ向かおうとすると、ホセは、ナイフを取り出して「闘牛場に行くというなら、ここでお前を殺す」と脅迫する。しかしカルメンは動じない。そして彼からもらった指輪を外して「カルメンは自由に生まれ、自由に死ぬのよ」と叫び、その指輪を彼に投げつける。激昂したホセは、カルメンを刺し殺す『二重唱:あんたね、俺だ』。
そしてホセは「ああ、カルメン。俺の熱愛するカルメン…」と慟哭し、その場に立ち尽くす。
(河野典子)

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