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作品について

ドニゼッティ作曲
オペラ全1幕 字幕付き原語(イタリア語)上演

劇場のアルアル?! 舞台裏の都合と不都合

華やかな舞台の裏側で繰広げられる真実?!
わがままな歌手たちとステージママによるドタバタ喜劇(コメディ)

 

 

イントロダクション

藤原歌劇団2023/24シリーズの幕開けは、ガエターノ・ドニゼッティ作曲のオペラ「劇場のわがままな歌手たち」を、第15回を迎える川崎・しんゆり芸術祭「アルテリッカしんゆり2023」参加公演としてお届けします。
本作は、「ヴィーヴァ・ラ・マンマ Viva la mamma」というタイトルで知られ、作曲家としてまだ駆け出しの頃のドニゼッティが、当時の劇場界の裏側を風刺して書いた作品です。ダリア(プリマドンナ)を演じるのは、坂口裕子(4/22)と中井奈穂(4/23)の二人のソプラノが務めます。ダリアの夫プローコロには、バスの久保田真澄(4/22)と小野寺光(4/23)、そしてマンマ・アガタを演じる二人のバリトンには、押川浩士(4/22)と三浦克次(4/23)を配しました。その他、歌唱演技を兼ね備えた藤原歌劇団を代表する歌手たちがコンメディア・デッラルテ(即興喜劇)のタッチで個性的かつ滑稽に描かれた音楽の世界で物語を展開させていきます。
指揮の時任康文が、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラを牽引、演出はベテラン松本重孝が務めます。今回は、1831年にナポリで上演されたバージョンをもとにしたクリティカル版を中心として、さらに他の上演版のいくつかの曲も挿入したオリジナルバージョンで、全1幕として上演します。抱腹絶倒の公演に、どうぞご期待ください。

見どころ・聴きどころ

「ヴィーヴァ・ラ・マンマ Viva la mamma」というタイトルで知られる、ガエターノ・ドニゼッティの世界中で人気のあるオペラ。作曲家としてまだ駆け出しの頃のドニゼッティが、当時の劇場界の裏側を風刺して書いた作品である。今回は、1831年にナポリで上演されたバージョンをもとにしたクリティカル版を中心として、さらに他の上演版のいくつかの曲も挿入したオリジナルバージョンで、二幕として上演される。コンメディア・デッラルテ(即興喜劇)のアルレッキーノの街で知られるベルガモ生まれのドニゼッティは、登場人物たちをデッラルテのタッチで個性的に滑稽に描きながら、特有の音楽的効果で絶妙に物語を展開させていく。アイロニーと笑いたっぷりの舞台をお楽しみに!

あらすじ

【前半】
舞台は、ミラノからほど近いローディの街の、劇場に隣接したホテルの広間。そこで新作オペラ《ロモロとエルシーリア》の稽古をしている。導入部は、作曲家で指揮者のビスクローマが合唱やロモロ役のピッペットに指示を出し、エルシーリア役を演じるプリマドンナのダリアがアリアを歌う場面である。周りに控えている彼女の夫のプローコロや、ドイツ人でドイツ語訛りの酷いイタリア語を喋るテノールのグリエルモ、第二ソプラノのルイジアら、それぞれが勝手な主張やコメントをする中で、プリマドンナは自信たっぷりに歌声をひけらかす。

ルイジアの母親でナポリ人の、バス・ブッフォ扮するアガタが登場し、娘のために1曲ロンドを書くようマエストロに要求する。マンマ・アガタは、このオペラの中でもっともインパクトの強い役柄である。

台本作家のチェーザレが公演ポスターを読み上げると、出演者たちは自分たちの権威を高慢に主張する。さらに、オペラの最後を締めるのは「自分だ」とそれぞれが強く言い張る。当時のオペラはソプラノのロンドで終わるのが定番だったので、プリマドンナは挑戦的な侮辱だと訴えるが、アガタが「昔は菓子売りだったくせに」と過去を暴露し嘲る。すぐにもダリアの夫プローコロが、「何も分かってない」と彼女の驚異的な才能を語り対抗する。

マンマ・アガタが今度は台本作家に、プリマドンナのダリアと娘ルイジアの二重唱をと迫ると、ダリアは絶対に歌わないと拒否し、言い合いの二重唱になる。

そこにロモロ役の歌手ピッペットが出て行ってしまったと、興業主が嘆きながら入ってくる。プリマドンナと娘との二重唱を交換条件に、(昔スカラ座で歌ったらしい?)アガタがロモロの代役を引き受けてやると言い出し、興業主と台本作家はしぶしぶ承諾する。テノールのグリエルモが入ってきて、自分の歌うデュエットはどうなったか?とマエストロに訊ねていると、楽譜を手にしたアガタが戻ってくる。まさか彼女と二重唱を歌うとはと驚くグリエルモとアガタが、マエストロと稽古を始める。しかしあまりにも酷いアガタの歌にグリエルモは腹を立て、歌わないと言って楽譜を破り、アガタはグリエルモの上着の袖を引きちぎる騒動となる。

結局、役を降りてしまったグリエルモの代わりに、今度はプリマドンナの夫プローコロがテノール役を歌うことに。その条件として第二ソプラノとの二重唱はなしでと言うダリアに、それなら代役はやらないとアガタが対抗する。皆が歌わないと言い出して興業主が困り果てているところに、台本作家がリヴォルノの劇場からルイジア宛てに届いた出演契約の手紙を持って入ってくる。手紙には「マンマ・アガタ抜き」という条件付でなら契約を結ぶと書いてあった。ここから、手紙を読む母と娘、台詞の書き直しを話し合うマエストロと台本作家の会話、「公演は失敗に終わるだろう」という新聞記事を読み上げるプローコロとダリアの会話が交差する六重唱が始まる。劇場の総監督が稽古だと告げても、何だかんだと稽古をやりたがらない歌い手たち。総監督はついには兵士らを呼んで、稽古をする舞台へと彼らを強制的に連れていく。

【後半】
大道具・小道具が雑然と置かれた舞台で、稽古の準備をしている。アガタが興業主にギャランティの前払いを要求するが、興業主は取り合わず、もし歌わなければ確実に牢屋行きになるだろうと脅し、さらに娘のルイジアも解雇すると言う。強気の興業主にアガタは、大混乱を起こしてやると言い、「あんたがこの街から生きて出られれば見ものだわ」と言い返す。

ようやくアガタの稽古が始まるが、彼女は出だしを間違えたり、歌詞を勝手に変えてしまったりと、マエストロが嘆く。ここで歌われるのはロッシーニの「オテッロ」の《柳の歌》だが、パロディが織り込まれた替え歌になっている。凱旋の行進部分の稽古では、合唱とともにプローコロがロモロ役に扮して登場し歌うのだが、テンポが遅かったり、音を外したりと散々な稽古になる。そしてアガタの生け贄のシーンに進み、葬送行進曲にのせて白い儀式の衣裳でアガタが登場したところで、興業主が「悪い知らせだ」と言って入ってきて稽古を中断する。二人の歌い手が降板してしまったことを理由に、総監督がオペラの上演を許可しないというのだ。

さて、公演が中止になったら…。それぞれがギャランティをあてにしてツケにしていた支払いをどうするか考える。この後は、一体どんな結末が待っているのか…?公演はどうなってしまうのか…?それは観てのお楽しみに!
(髙橋和恵)

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