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作品について

木下順二 作 / 團伊玖磨 作曲
オペラ全1幕

忘れない。全てを尽くして愛したから––––

叙情性あふれる音楽と
現代社会にも通じる深い洞察は、
今もなお大きな衝撃と感動を呼び起こす。
日本オペラ界に燦然と輝く不朽の名作‼︎

 

 

イントロダクション

 日本オペラ協会が秋七月(あきふみづき)にお届けするのは、4年半ぶりの上演となる名作「夕鶴」です。オペラ「夕鶴」は、木下順二の名作戯曲がそのまま團伊玖磨によりオペラ化された作品で、1952年の初演から800回以上上演され、今も高い人気を誇る日本オペラのひとつとして全国で上演されています。広く親しまれている民話「鶴のおんがえし」に基づくストーリーと美しい日本語台本、團伊玖磨の叙情性あふれる音楽のみならず、現代社会にも通じる深い洞察に満ちたその内容は、観る人たちに大きな衝撃と感動を呼び起こします。
 2013年3月、兵庫県立芸術文化センターにて新制作されたこのプロダクションは岩田達宗による演出で、現実と異界が同居する室内劇として新しい息吹が吹き込まれ、木下順二原作の本質を浮かび上がらせたプロダクションとして高い評価を得ています。日本オペラ協会でも2018年2月に新宿文化センターにて上演し、客席は終演と同時に深い感動に包まれました。
 そしてこの度テアトロ・ジーリオ・ショウワにおいて、指揮には益々の活躍を続ける柴田真郁、つう役にはプリマドンナの2人を配し、前回同役を演じ大好評を得た佐藤美枝子と、確かな実力で観客を魅了する砂川涼子が初役で演じます。与ひょう役には歌唱演技ともに日本オペラ協会が誇るテノールの藤田卓也と海道弘昭を配し、その他、江原啓之、市川宥一郎、下瀬太郎、田中大揮ら実力派の布陣でお届けいたします。
 誰もが知る民話が名作オペラとして生まれ変わった「夕鶴」の感動を、ぜひ改めてご堪能ください。

見どころ・聴きどころ

 オペラ「夕鶴」は日本オペラ作品の中で最も上演回数が多く、ポピュラーな作品です。「鶴のおんがえし」に基づいた物語は誰にでもわかりやすく、そして雪国の幻想的な雰囲気や美しい情景の内に人間のもつ良心と欲心の両面が描かれています。気の弱い愚かな人が甘い誘惑に乗ってしまうことにより、本当に大切な物を失ってしまう…という誰もが共感できるストーリーです。また、團伊玖磨の音楽は流麗で、美しくごく自然に日本語のもつイントネーションを損なうことなく歌いあげています。
 聴きどころとしては、先ずつうのアリアが挙げられます。つうにはアリアにあたる場面が三ヶ所あり、運ずや惣どにそそのかされている与ひょうを見ながら歌う「与ひょう、私の大事な与ひょう…」、家の中で寝てしまった与ひょうの傍らにある巾着袋に入っているお金を見て歌う「これなんだわ、みんなこれのためなんだわ、お金?お金?」。そして、約束を破って布を織っているところを覗いた与ひょうへ歌う「与ひょう、からだを大事にしてね、いつまでも、いつまでも、元気でいてね…」。その他にも、子どもたちの登場場面、つうと与ひょうの愛の二重唱、誘惑に負けた与ひょうが、つうに布を織るよう頼み込むシーン、ついに決心したつうが機を織る場面など、人間の心の葛藤がそのままオペラの場面となって綴られています。どうぞお楽しみに!

あらすじ

 村はずれ。以前、畑で傷ついて倒れていた鶴を助けたことのある与ひょうのもとに、つうという美しい女性が女房にしてくれとやって来た。つうは与ひょうを喜ばせようとこっそり夜中に一枚の布を織って彼に渡す。と、その布の美しさが町で噂になり、それが大変な値打ちのあるものであることに隣村の惣どが気付く。惣どはその布で金儲けをたくらみ、与ひょうの友達の運ずを利用して与ひょうをそそのかす。その誘いには決して乗らない与ひょうだったが、都に連れて行ってやる、と言われ心が揺らぐ。しぶしぶ布を織るようにとつうに頼む与ひょう。そして、その頼みを受け入れるつうだったが––––

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